近年、グルテンフリーの食事が注目されています。グルテンは小麦、大麦、ライ麦に含まれるタンパク質であり、特にパンやパスタなどの加工食品に多く含まれています。西洋医学では、グルテンに対する過敏症やセリアック病が問題視されていますが、東洋医学の観点からも小麦粉やグルテンが健康に与える影響について考えることができます。

小麦粉と「湿」の関係
東洋医学では、食べ物が体にどのような影響を与えるかを「気・血・水」のバランスを通じて考えます。小麦粉は特に「湿」を生じやすい食材とされており、体内に過剰な湿気がたまると、さまざまな不調を引き起こすと考えられています。
湿が体に溜まることで、以下のような症状が出やすくなります。
- 消化不良(胃もたれ、膨満感、軟便)
- むくみやすい
- 関節のこわばりや痛み
- 疲れやすく、だるい
- 肌トラブル(湿疹、ニキビ)
このように、小麦粉を多く摂取すると体内の湿が過剰になり、代謝が悪くなることで不調が現れやすくなるのです。
「脾胃(ひい)」の働きを弱める
東洋医学では、消化器系(脾・胃)が食物をエネルギーに変える中心的な役割を担っていると考えます。小麦粉は脾胃を弱らせる性質があるため、
- 消化力が低下しやすい
- 栄養の吸収が悪くなる
- 疲労感が増す
といった影響が出る可能性があります。特に、冷たい飲み物や甘いものと一緒に摂るとさらに消化が悪くなり、脾胃への負担が大きくなります。
「腎」を冷やし、精を消耗する
東洋医学では、「腎」は生命エネルギーを蓄える重要な臓器とされており、腎の働きが弱まると老化が早まり、免疫力の低下、慢性的な疲労感などにつながると考えられています。小麦粉には身体を冷やす性質があり、特に白い小麦粉を多く摂取すると腎を冷やしやすくなるため、
- 冷え性が悪化する
- ホルモンバランスが乱れる
- 免疫力が低下する
といった影響が出ることがあります。
グルテンが「気」の巡りを滞らせる
「気」は体のエネルギーの流れを示すもので、気の巡りがスムーズであることが健康の鍵となります。グルテンは粘着性が高いため、腸の中で滞りやすく、気の流れを妨げる要因になると考えられています。その結果、
- 便秘や下痢
- お腹の張りやガスがたまりやすい
- 集中力の低下やイライラ
といった症状につながることがあります。
どのように小麦粉を減らせばよいか?
小麦粉を完全にやめることは難しいかもしれませんが、
- 全粒粉やグルテンフリーの食材を取り入れる
- 米粉やそば粉など、代替できるものを選ぶ
- パンやパスタの頻度を減らし、和食中心の食事にする
- 発酵食品(味噌、納豆、漬物)を摂り、消化力をサポートする
といった工夫をすることで、体の負担を減らしながら健康を保つことができます。
東洋医学の観点から見ると、小麦粉やグルテンは「湿」を生じやすく、消化器系(脾胃)や腎に負担をかける可能性があります。特に、冷え性やむくみ、消化不良などの症状がある方は、小麦粉の摂取量を見直すことで、体調が改善されることもあります。
日々の食事を見直し、自分の体調に合った食生活を心がけることが大切です。